第2話:転職に迷うのは正常。
でも、“沼”から抜け出す方法がある

はじめに:転職に迷うのは“普通”です

転職を考えているとき、多くの方が『迷って決められない』という状況に陥ります。これは決して特別なことではありません。実際、Prime Axisの面談で出会う求職者のうち、半数以上が『求人を見てもうまく選べない』『決断に自信がない』とおっしゃいます。これは意思の弱さではなく、現代の“情報過多”な社会環境が生む自然な心理現象です。

決定回避の法則:情報が多すぎて選べない

心理学には『決定回避の法則(Decision Avoidance Theory)』という考え方があります。選択肢が多すぎると、人は選べなくなり、むしろ“行動を先延ばし”にする傾向が強まるのです。こちらは参考に是非ご覧いただきたいCMがあります。

2007年の大和証券さんのCM「 決定回避の法則」https://www.youtube.com/watch?v=lJZjF8IbfSk

転職市場では日々何万もの求人が動いており、スカウトや広告などで次々と情報が入ってくるため、選ぶ基準がないままでは判断に迷って当然です。

転職は「自己理解」から。服選びと同じです。

もし、自分の「好きな色」を知らなかったら──
服、どうやって選びますか?

もし、自分に「似合うスタイル」を認識していなかったら──
自信を持って、服を選べるでしょうか?

実は、転職もこれと本質的には同じです。

多くの人が「求人が多すぎて選べない」「何が正解か分からない」と感じていますが、
その背景にあるのは、自己理解=自分の軸の不明確さです。

軸がないまま転職活動を進めると、情報の多さに振り回されてしまいます。
そして「決定回避の法則」が働き、判断が鈍ります。
結果として──
・最後は“年収の高さ”だけで選ぶ
・“面接官の印象”だけで決める
・“これまでの経験が活かせそう”という理由でなんとなく決断する

そんな“視野の狭い意思決定”になってしまいがちです。
これでは、入社後に違和感や後悔を抱えるのも無理はありません。

だからこそ、「自己理解」から始めることが重要なのです。
自分の色、自分のスタイル──
キャリアにも“自分に似合う選択”は、必ずあります。

“迷いの沼”にハマる構造

たとえば、あるSaaS企業に興味を持ったとしても、『他にもっといい会社があるかも』『成長性は本当にあるのか』と考え始めるとキリがありません。その結果、何社も比較し続けて、決断できないまま疲弊してしまう。いわゆる“転職沼”にハマる構造です。この状態では本来の目的(=自分に合った仕事を見つける)から逸れてしまいます。

自己理解が選択の“軸”になる

では、この迷いの沼から抜け出すにはどうすればいいのか。その答えが“自己理解”です。自分の強みや価値観、これから実現したい未来を言語化できていれば、求人の選び方に『自分なりの判断基準』が生まれます。例えば、『自分は裁量が大きい環境でこそ力を発揮できる』『人とのつながりを大切にしたい』といった価値観が明確であれば、企業のカルチャーやミッションを見るだけで、“自分に合うかどうか”を判断しやすくなるのです。

“軸”がある人は決断が早い

当社で実際にサポートした事例でも、自己理解を通じて“軸”を持った方は決断が非常に早くなります。求人の希望条件はもちろん重要ですが、“なぜ自分はそう思うのか?”を掘り下げた上で選んだ選択肢はブレにくく、後悔も少なくなります。逆に、“なんとなく良さそう”で選んだ会社は、入社後に違和感が出てきやすく、早期再転職に至る確率も高くなります。

まとめ:迷いの正体は“軸のなさ”だった

転職の“迷い”は、情報の多さではなく、“判断基準のなさ”によって引き起こされます。その基準=“軸”を持つことこそが、あなたに合った選択肢を見極める力となり、納得のいくキャリアを築く第一歩になるのです。